3月末に定年退職した『まどわく』です。
無職になって、固定資産税、住民税、所得税の予定納税と次々と納税通知が送られて来ます。
固定資産税は住居に応じた税金なので仕方ありません。
所得税の予定納税は来年の所得税の先払いで最終的に確定申告で妥当な税額に調整されます。
問題に思うのは住民税です。
退職前までは、給与から天引きされて月賦みたいなものだったので、それほど高額に感じていませんでしたが、一括で送られてくるとびっくりする税額です。
そもそも退職月の給与や退職金から住民税を徴収しておきながら、またもや住民税なんて信じられません。
先ずは、退職した当年の住民税について、市役所へ行って「払えないから減免してよ」って言ってみました。
この調子で行くと、何歳までどのくらいの住民税を払わなければいけないのかも不安になってきたので、今後の住民税がどうなるのかも調査しました。
退職する年の住民税
退職する年の住民税は、3本立てになります。
- 退職金にかかる住民税
- 支払い中の前前年分収入に対する住民税
- 前年の給与+ブログ所得に応じた住民税
です。
退職金にかかる住民税
退職金は勤続年数に応じた退職所得控除額が設定されており、非課税となる枠が大きめに設定されています。
例えば、勤続38年の場合は2060万円までは非課税です。
退職所得控除額=70万円×(勤続年数38年-20年)+800万円
=2060万円
しかし、退職所得控除額を超えた分には所得税・住民税等がかかり徴収されます。
例えば、勤続38年で退職金3060万円の場合、住民税は50万円となります。
住民税
=(退職金3060万円ー退職所得控除額2060万円)×1/2×10%
=50万円
前述した通り、退職金は優遇されており、大きな退職所得控除が設定されています。
退職金は会社で頑張ったご褒美です。
『まどわく』のように会社にしがみついて転職しなかった者にとっては、一生に一度のご褒美です。
その退職金から住民税を徴収しておきながら、6月になると前年収入に応じた住民税の納税を通知してきます。
支払い中の前前年分収入に対する住民税
『まどわく』は3月末に退職しました。
住民税は、前年の収入から計算され、6月から翌年の5月までの1年分として徴収されます。
会社員は、毎月の給与から12回にわたって、天引き・徴収(特別徴収)されます。
1月〜5月に退職する場合、基本的に5月分までの住民税を退職月の給与や退職金から徴収されます。
住民税が多い場合は、普通徴収に切り替わり、自分で払うことになります。
『まどわく』は3月の給与から3月と4月と5月の3ヶ月分が一気に徴収されました。
よって、3月の給与は極小になりました。
6月以降に退職する場合は、前前年分収入に対する住民税は5月の給与で払い終わっています。
前年の収入にかかる住民税
退職後の住民税は、給与から引かれる特別徴収から自分で納める普通徴収に切り替わります。
『まどわく』の場合、退職した3月の給与で5月まで住民税を一気に徴収されて、退職金から住民税を徴収され、そして6月になると前年の収入にかかる住民税の納税通知が送られてきました。
なんだか月数が合わないような気がして、住民税地獄にも感じます。
普通徴収では、1年分を4回分割(7月、9月、10月、1月の期日)で納税するようになっています。
そして、もしもの話になりますが、死亡した時の住民税は相続人が納めるそうです。
死亡した月までの徴収ではダメなのでしょうか?
まあ、そこは置いておくとして、無職になった『まどわく』にとっては、かなり高額です。
なんと言っても、勤続38年で積み上げた給与(前年の収入)に対する税金だから無職になって払うとなると、「この高額住民税は誰に対するものなんですか?」って感じです。
市役所に行ってきた
高額な住民税の納税通知に対して、きっと無職になった時の軽減・減免制度があるのだろうと思い、市役所へ行くことにしました。
住民税の減免制度
『まどわく』の住む自治体では、次の内容に当てはまる場合は減免されることがあると書かれています。
・生活保護を受けている人
・所得が皆無となり生活が困難になった人
・学生
・特別の事由がある人
『まどわく』は、定年退職ではありますが、病気で仕方なく離職しています。
働けるようになるまでは、預貯金や失業手当などでつなぐしかありません。
「所得が皆無となり生活が困難」「特別な事由あり」に当てはまるのではないかと市役所の窓口で事情を説明しました。
市役所での減免対応
知らない制度が多くあるので、期待して市役所に行ったのですが、次に該当しない限り減免しないと市役所の担当者から言い切られました。
・生活が困窮している方
・罹災された方
内容としては、
「所得が皆無となり生活が困難」とは非課税世帯で預貯金などの金融資産が少ない
「特別の事由」は、罹災のみ
です。
今年は非課税世帯では無いわけだし、預貯金も少しあり、罹災もありません。
支払い時期や分割方法は相談に乗ってくれるそうですが、払う時期を遅らせてもらっても、分割回数を変えてもらっても納める税額は変わりません。
しつこく食い下がっても何もしてくれそうにないので、引き下がり帰って来ました。
退職翌年以降の住民税
今年の住民税は、額面通りに納税するしかないのですが、翌年以降がどうなるのか心配です。
退職翌年の住民税
退職翌年の住民税は、退職年の収入に応じた税額になります。
『まどわく』の場合、1月〜3月にもらった給与とブログ収入に住民税がかかります。
住民税は、課税所得に対して所得割10%と均等割5千円程度です。(居住地によります)
例えば、1月〜3月の給与が200万円、ブログ所得(経費を引いたもの)が100万円の場合、住民税は次のようになります。
給与所得控除額=200万円×30%+8万円=68万円
給与所得=200万円ー68万円=132万円
ブログ所得=100万円
合計所得=232万円(住民税課税対象)
例えば
基礎控除43万円、配偶者控除33万円、社会保険料控除50万円
を控除できる場合
232万円ー(43万円+33万円+50万円)=106万円
住民税=所得割(106万円×10%)+均等割(5千円)=11.1万円
給与所得控除について
給与収入に対する給与所得控除とは、自営業所得で言うところの経費に相当するものです。
会社員は個々の経費を認められませんが給与所得控除と言う決まりで給与から差し引いて給与所得としています。
給与所得控除は次のとおりです。
給与収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から1,800,000円まで | 年収×40%-100,000円 |
1,800,001円から3,600,000円まで | 年収×30%+80,000円 |
3,600,001円から6,600,000円まで | 年収×20%+440,000円 |
6,600,001円から8,500,000円まで | 年収×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円 |
無職の場合の住民税
退職翌年は退職までの給与収入があるはずですが、その後も無職を続ける場合、住民税は非課税対象になってきます。
住民税が非課税となる場合
住民税非課税は次の通りです。(市町村で違います)
所得割が非課税となる場合
所得が次に該当する方は、住民税の所得割が非課税となります。
※市町村により違います。
同一生計配偶者および扶養親族のいずれも有しない場合
450,000円
同一生計配偶者または扶養親族を有する場合
350,000円×(1+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+420,000円
下表は配偶者と扶養家族の人数に応じた該当所得および相当収入を示したものです。
同一生計配偶者+ 扶養親族の人数 | 0人 | 1人 | 2人 |
---|---|---|---|
所得金額(円) | 450,000 | 1,120,000 | 1,470,000 |
給与収入(円) | 1,000,000 | 1,703,999 | 2,215,999 |
年金収入(円) (65歳未満) | 1,050,000 | 1,860,000 | 2,326,666 |
年金収入(円) (65歳以上) | 1,550,000 | 2,220,000 | 2,570,000 |
均等割が非課税となる場合
所得が次に該当する方は、住民税の均等割が非課税となります。
同一生計配偶者および扶養親族のいずれも有しない場合
415,000円
同一生計配偶者または扶養親族を有する場合
315,000円×(1+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+289,000円
下表は配偶者と扶養家族の人数に応じた該当所得および相当収入を示します。
同一生計配偶者+ 扶養親族の人数 | 0人 | 1人 | 2人 |
---|---|---|---|
所得金額(円) | 415,000 | 919,000 | 1,234,000 |
給与収入(円) | 965,000 | 1,469,000 | 1,879,999 |
年金収入(円) (65歳未満) | 1,015,000 | 1,592,000 | 2,012,000 |
年金収入(円) (65歳以上) | 1,515,000 | 2,019,000 | 2,334,000 |
年金収入のみの場合の住民税
公的年金等(企業年金、老齢年金)の収入がある場合の住民税は、以下の通りです。
年金所得を計算する場合、給与収入とは違う計算となる年金所得控除が適用されます。
年金所得=年金収入(a)×年齢による(b)ー(c)
年金を 受け取る 人の年齢 | (a)公的年金等の 収入金額 | (b)割合 | (c)控除額 |
---|---|---|---|
65歳未満 | 年金収入60万円までの場合は所得金額ゼロ | ||
600,001円から 1,299,999円まで | 100% | 600,000円 | |
1,300,000円から 4,099,999円まで | 75% | 275,000円 | |
4,100,000円から 7,699,999円まで | 85% | 685,000円 | |
7,700,000円から 9,999,999円まで | 95% | 1,455,000円 | |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000円 | |
65歳以上 | 年金収入110万円までの場合は所得金額ゼロ | ||
1,100,001円から 3,299,999円まで | 100% | 1,100,000円 | |
3,300,000円から 4,099,999円 | 75% | 275,000円 | |
4,100,000円から 7,699,999円 | 85% | 685,000円 | |
7,700,000円から 9,999,999円まで | 95% | 1,455,000円 | |
10,000,000円以上 | 100% | 1,955,000円 |
65歳で収入が年金収入200万円のみの場合、(同一生計配偶者+扶養親族の人数)1人であれば非課税になります。
年金所得=200万円×100%ー110万円=90万円(住民税非課税対象)
単身者の場合、年金収入200万円は課税対象となるので、適用できる控除を差し引いた課税所得に対して、住民税所得割と均等割が課税されます。
年金から引かれるものは所得税、住民税、介護保険料、国民健康保険料になります(75歳以上は後期高齢者医療制度の保険料)。
ただし、収入金額や世帯の構成によっては年金から引かれないときもあります。
公的年金等収入だけであっても、健康保険料等の社会保険料、生命保険料、医療費などの所得控除を受けられる場合には、市県民税の申告が必要になります。
ただし、公的年金等から所得税が源泉徴収されている場合には、金額によって確定申告書により所得税が還付される場合があります。
確定申告書を提出する場合は、市県民税の申告は不要となります。
公的年金等収入が400万円以下で、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である方は、確定申告の提出不要ですが、社会保険料、生命保険料、医療費などの各種控除を受ける場合には、市県民税の申告が必要です。
最後に
会社を退職した年は、退職金に住民税が課税されます。(非課税の場合もあります)
1月〜5月退職の場合、退職時に5月までの住民税を給与や退職金から徴収されます。
そして、6月になると前年の給与に応じた住民税の納税通知書が市町村から送られてきます。
筆者の居住地では、病気等で無職になっても、住民税を減免してくれる制度はありませんでした。
退職時や退職後に多くの住民税を納税する必要があるかもしれません。
どのくらい住民税の納税が必要なのか事前に調べておきましょう。
参考資料
本記事を作成するにあたり次のサイトを参考にしました。
国税庁 退職金と税:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm
東京都主税局 個人住民税:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html#gaiyo_02
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
足立区 令和6年度の国民健康保険料:https://www.city.adachi.tokyo.jp/kokuho/kurashi/hoken/hokenryoukimekata.html