筆者『まどわく』は、うつ病で休職し、そのまま定年退職しました。
うつ病で定年退職日まで出社できなかったため、再雇用してもらえず退職が決まりました。
退職後に失業手当をもらいながら今後の職について考えて行こうと思ったものの受給できるのか心配でした。
失業手当の受給には条件があり、色々調べてからハローワークに行きました。
結果的に『まどわく』は、うつ病で定年退職後に失業手当をもらうことができ、加えて通常の2.4倍(150日→360日)の期間を認定してもらえました。
本記事では、うつ病が完治しないまま退職した筆者の体験をもとに、『うつ病で退職した時に失業手当をもらえる条件・もらえない条件/必要な書類』について解説します。
失業手当をもらえる条件・もらえない条件
失業手当は、失業した時に誰でももらえるものではありません。
「もらえる条件」と「もらえない条件」が決まっています・
失業手当をもらえる条件
うつ病で失業手当をもらえる条件は、次の通りです。
1)雇用保険の被保険期間が所定以上あること
2)失業状態にあること
両方の条件が合致すれば失業手当をもらえます。
雇用保険の被保険期間
失業手当をもらうには、雇用保険の被保険者であった期間が所定以上必要です。
退職理由 | 必要な被保険者期間 |
---|---|
自己都合退職 定年退職 | 離職日以前2年間に12ヶ月以上 |
会社都合退職 ケガ等正当な理由での退職 | 離職日以前1年間に6ヵ月以上 |
失業状態とは
失業状態と言うのは、
1)求職申込し働きたい意欲がある
2)週20時間以上働ける健康状況である
ということです。
うつ病でも働く意欲を見せて、働ける健康状況であることを示せれば失業手当をもらえます。
失業手当をもらえない条件
失業手当をもらえない条件は次のような場合になります。
1)雇用保険の被保険者期間が不足している
2)働ける健康状況ではない
3)傷病手当金をもらっている
4)特例支給や繰上げで年金を受給している(64歳以下)
5)就職が決まっている
6)開業している・開業準備している
7)65歳以上(高年齢求職者給付金となる)
うつ病で退職して失業手当をもらう手順
「失業手当をもらえる条件」と「失業手当をもらえない条件」を説明しましたが、うつ病で退職後に失業手当をもらうには、
・求職申込し働く意欲を見せる
・週20時間以上働けることを証明する
となります。
詳しい手順は関連記事に記しています。
求職申込し働く意欲を見せる
ハローワークで「求職申込書」を作成することで、求職申込となり、同時に働く意欲があることになります。
「求職申込書」は、書式に沿って希望の職を記入するものです。
最初は自分で記入しますが、最終的に求職相談窓口の担当者が面談の中でQ&Aしながら完成してくれるので難しくはありません。
ただし、うつ病で「障害者雇用枠」で求職申込する場合は、『医師の意見書』が必要になります。
『医師の意見書』は、ハローワークの面談時にもらう書類です。
医師に障害の状況を記入してもらいます。(記入に5千円程度かかりました)
ハローワークでの求人には「一般枠」と「障害者雇用枠」があります。
「障害者雇用枠」に応募するには、障害者手帳の所持が必須です。
障害者手帳を所持している場合、「一般枠」・「障害者雇用枠」どちらにも応募できます。
週20時間以上働けることを証明する
週20時間以上働ける状況なのかは、自分では証明できないため、医師に証明してもらうことになります。
ハローワークでもらう『就労可能証明書』(書類)を持って、かかりつけの病院に行きます。
※『就労可能証明書』の書き方は、ハローワークの担当者が教えてくれます。
医師に依頼すれば『就労可能証明書』に病気の状況を記入してもらえます。(記入に2千円程度かかりました)
[うつ病であるものの週20時間以上の労働が可能である]ことを記入してもらえれば、働ける証明となります。
ハローワークにうつ病であることを申請する理由
そもそも、うつ病であることは自己申告するものです。
申告しないといけない訳ではないということです。
しかし、病気であることを申告することで失業手当が手厚くなる可能性があるので、申告した方が良いと思います。
『まどわく』は、うつ病であることを自己申告した結果、通常の2.4倍(150日→360日)の長期間で失業手当をもらえることになりました。
うつ病を自己申告するメリット
ハローワークでうつ病であることを自己申告する理由は、次のメリットがあるためです。
1)働けない場合は、受給開始を長期間遅らせられる(最大4年以内)
2)働けるなら就職困難者に認定してもらえ、ゆっくり職探しができる
受給開始を長期間遅らせられる(最大4年以内)
うつ病で週20時間働ける状況でない場合、失業手当をもらえません。
ただし、病気を申告し、診断してもらうことで、失業手当をもらうタイミングを遅らせることができます。
通常、失業手当は1年以内(定年退職の場合2年以内に延長可能)にもらうのが原則なのですが、受取り期間を離職後最大4年以内まで延長できます。(もらえる期間は同じですが時期をずらせます)
対象区分 | 失業手当をもらいきる期間 |
---|---|
通常退職者 | 1年以内 |
定年退職者 | +1年延長可能=2年以内に受給 |
病気やケガなどで 就業できない場合 | +3年延長可能=4年以内に受給 |
うつ病以外の理由でも以下に該当することで所定の延長が可能です。
・ 妊娠、出産
・ 3歳未満の子どもの育児
・ 病気やけが
・ 親族の介護
・ 事業主の命により海外勤務する配偶者に同行する場合
・ 青年海外協力隊など公的機関が行う海外技術指導による海外派遣
・ 60歳以上の定年などにより離職し、しばらくの間休養する場合
・ 退職後に事業を開始した場合
就職困難者とは
就職困難者とは、働く意欲があり、週20時間以上働けるものの、病気のため早急な再就職が難しいと判断される場合の認定制度です。
対象の病気には、うつ病などによる精神障害も含まれます。
就職困難者と認められた場合は、より手厚い失業手当を受けることが可能になります。
例えば、一般的な受給者と比較して、下記の表の通り、長期間の受給が可能になります。
一般的な 受給者 | 被保険者であった期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |||
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
就職困難者 | 被保険者であった期間 | |
---|---|---|
1年未満 | 1年以上 | |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
「精神障害者」の定義は次の通り。
障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第6号の知的障害者
精神障害者とは、障害者のうち次の1又は2のいずれかに該当するものであって、症状が安定し、就労が可能な状態にある者をいう
1.精神保健福祉法第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
2.統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む)又はてんかんにかかっている者
※うつ状態は就職困難なものに該当しない
必要書類
うつ病に限りませんが、退職後にハローワークへ持っていく書類は次のものです。
1)離職票(前職の会社から受領)
2)雇用保険被保険者証(前職の会社から受領)
3)マイナンバーカード
うつ病と自己申告したことで、ハローワークで提出を求められる書類は次のものです。
1)医師記入の『就労可能証明書』・・・働けることの証明
2)医師記入『医師の意見書』・・・障害者枠で求職する場合
『就労可能証明書』と『医師の意見書』の違い
『就労可能証明書』と『医師の意見書』は、共に医師が病状を記入するものです。
よく似たものですが、ハローワークでの用途が違っています。
・『就労可能証明書』は、失業手当給付のための証明
・『医師の意見書』は、求職者として働けることの証明
ハローワーク内でも提出先が分かれています。
・『就労可能証明書』:給付課
・『医師の意見書』:就業相談窓口
最後に
うつ病で退職した時に失業手当をもらえる条件が決まっています。
1)雇用保険の被保険期間が所定以上あること
2)失業状態にあること
直ぐに働けない場合や傷病手当金をもらっている場合は、失業手当の受給を遅らせることができます。
医師の証明で就職困難者に認定されれば失業手当を長期間受給できます。
1)働けない場合は、受給開始を長期間遅らせられる(最大4年以内)
2)働けるなら就職困難者に認定してもらえ、ゆっくり職探しができる
うつ病を申告して手厚く対応してもらうには、必要書類があります。
1)医師記入の『就労可能証明書』・・・働けることの証明
2)医師記入『医師の意見書』・・・障害者枠で求職する場合