筆者の『まどわく』は、うつ病で約1年半休職し、そのまま退職しました。
うつ病は、辛い時期が長く、自分で利用できる制度を考える余裕がありません。
そして、うつ病の医療費やお薬代は高額です。
病気の治癒が早いのであれば、通常のお薬のように一時的な費用で済むのですが、うつ病は長期間かけて改善と悪化を繰り返す場合が多く、慢性的に診療費とお薬代が必要になります。
働けないのにお金が減っていく感覚は、なんとも虚しいものです。
自立支援医療制度を利用すると所定の病院の通院診療費、所定の薬局薬でもらうお薬代の負担割合が3割負担から1割負担に軽減できます。
しかし、『まどわく』が自立支援医療制度を知ったのはうつ病の治療開始から1年4ヶ月後のことでした。
もっと早く知っていれば良かったと思っています。
精神疾患を治療中の方や周囲の方は、自立支援医療制度を理解して、利用できる時期になったら直ぐに利用を考えて欲しいと思います。
自立支援医療制度とは
自立支援医療(精神通院医療)は、厚生労働省が管轄する制度になり、以下のように書かれています。
精神通院医療は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する統合失調症、精神作用物質による急性中毒、その他の精神疾患(てんかんを含む。)を有する者で、通院による精神医療を継続的に要する病状にある者に対し、その通院医療に係る自立支援医療費の支給を行うものです。
※詳細は、厚生労働省のサイトで確認してください。
自立支援医療(精神通院医療)は、医療費を軽減してくれるもので、対象の疾病で再発予防のために通院治療を続ける必要があれば申請できます。
自立支援医療制度のメリット
自立支援医療が適用された疾病に対して、所定の病院の通院診療費、所定の薬局でのお薬代の負担割合が3割負担から1割負担に軽減されます。
更に、所得が低い場合などでは、医療費の月額上限が設定されています。
『まどわく』は、昨年の年収(市町村民税235,000円以上)から見ると一定以上の所得区分となりますが、「重度かつ継続」と言われる区分に該当するため月額上限は2万円となりました。
区分 | 市町村税区分 | 負担上限 (月額) | 「重度かつ継続」の 負担上限(月額) |
---|---|---|---|
一定 所得 以上 | 市町村民税 235,000円以上 (年収約833万円以上) | 対象外 | 20,000円 |
中間 所得2 | 市町村民税 33,000円以上 235,000円未満 (年収約400〜 833万円未満) | 「高額療養費制度」 の限度額が上限 | 10,000円 |
中間 所得1 | 市町村民税 33,000円未満 (年収約290〜 400万円未満) | 「高額療養費制度」 の限度額が上限 | 5,000円 |
所得 区分2 | 市町村民税非課税 (所得区分1を除く) | 5,000円 | 5,000円 |
所得 区分1 | 市町村民税非課税 (本人または障害児の 保護者の年収が 80万円以下 | 2,500円 | 2,500円 |
生活 保護 | 生活保護世帯 | 0円 | 0円 |
*年収については、夫婦+障害者である子の3人世帯の粗い試算
<当面の「重度かつ継続」の範囲>
・ 疾病等から対象になる者
精神通院医療 :
(1) 統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)
(2) 3年以上の精神医療の経験を有する医師により、以下の病状を示す精神障害のため計画的・集中的な通院医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む。)を継続的に要すると診断された者として、認定を受けた者
・ 情動及び行動の障害
・ 不安及び不穏状態
更生・育成医療 : 腎臓機能障害、小腸機能障害、免疫機能障害
・ 疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
精神・更生・育成 : 医療保険の多数該当の者
自立支援医療制度の対象者
精神疾病の場合は次の病気等が対象になっています。
統合失調症
うつ病、双極性障害(躁うつ病)などの気分障害
薬物などの精神作用物質による急性中毒またはその依存症
PTSD(心的外傷後ストレス障害)などのストレス関連障害
パニック障害などの不安障害
知的障害、心理的発達の障害
アルツハイマー病型認知症、血管性認知症
てんかん など
『まどわく』の場合、精神障害者手帳の申請と同時に行いましたが、実際は精神障害者手帳の申請が発病後6ヶ月経過後に申請できるのに対して、自立支援医療制度は期間を置かず申請できます。
自立支援医療制度の申請手順
自立支援医療制度を利用する場合の申請手順、その内容を解説します。
申請場所
自立支援医療制度は、市町村役場の窓口で申請します。
申請に必要なもの
自分で申請する場合に必要なもの
・利用する医療機関名、薬局名
・健康保険証
・マイナンバーカード
(マイナンバー+運転免許など顔写真のある身分証明)
・低所得の場合、世帯の所得の状況等が確認できる資料
・印鑑(『まどわく』の地域は不要でした)
家族が代わりに申請する場合は上記に加えて
・委任状
・代理人の身分証明
です。
申請時の対応
『まどわく』本人が市役所窓口に行った場合の話を記します。
窓口担当者に『自立支援医療(精神通院)』を申請したいと伝えました。
マイナンバーカードで身分証明し、利用している病院名と薬局を伝えると担当者が制度を利用できる指定機関であることを確認してくれました。
病気を治療する医療機関を決めます。
『まどわく』は、病院と薬局の2箇所です。
次に窓口担当者が『自立支援医療(精神通院)支給認定申請』の書類を持ってきて記入方法を教えてくれたので、指示に従い記入しました。
そして『医師の診断書』は、精神障害者保健福祉手帳の交付を同時に申請したことで、『精神障害者保健福祉手帳交付申請書』を医師に記入してもらう必要があり、用紙を受領し、病院へ持って行き記入してもらいました。
後日、市役所の窓口に持って行きました。
参考までに診断書費用を記します。
『まどわく』の場合、書式により変わっていました。
通常の診断書(病院様式のもの):2千円程度
役場提出など書式のあるもの:5千円程度
自立支援医療制度の交付タイミング
『まどわく』の場合、精神障害者保健福祉手帳の交付を同時に申請しており、『自立支援医療(精神通院)』だけを申請した場合と違っているかもしれませが、3月中旬に医師の診断書となる『精神障害者保健福祉手帳交付申請書』を市役所に提出しました。
『自立支援医療(精神通院)』は、『自立支援医療受給者証(精神通院) 』が病院に送付されます。
精神障害者保健福祉手帳を受領したのが4月末だったので、多分その頃に『自立支援医療受給者証(精神通院) 』も送付されていたのだと思われます。
実際に手にした時期は
・精神障害者保健福祉手帳:4月末
・自立支援医療受給者証(精神通院) :6月初旬(通院日)
です。
自立支援医療制度はいつから有効?
『自立支援医療受給者証(精神通院)』は、病院に送付されるため、通院しないと手にできません。
6月初旬に通院した時に病院の窓口で渡されました。
そして、4月中旬に通院した医療費の一部が返金されました。
『自立支援医療受給者証(精神通院)』の交付日は、診断書を提出した3月中旬が交付日となっていて、『自立支援医療受給者証(精神通院)』が病院に届いていなかった間の医療費も制度の対象期間となっていました。
自立支援医療制度はいつから有効かと言うと
『自立支援医療受給者証(精神通院)』は交付日から有効
『まどわく』の場合の交付日は医師の診断書を市役所に提出した日
でした。
補足:精神障害者保健福祉手帳についても4月末に受領しましたが、診断書を提出した3月中旬が交付日でした。
『自立支援医療受給者証(精神通院)』の利用方法
『自立支援医療受給者証(精神通院)』は、病院に送られ、通院した時に病院の窓口で渡されます。
『自立支援医療受給者証(精神通院)』の形
『まどわく』が受領した『自立支援医療受給者証(精神通院)』は、水色で大きさは二つ折りでA5サイズ程の紙製の証書です。
『自立支援医療受給者証(精神通院)』には、個人情報や登録した医療機関が記入されています。
『自立支援医療受給者証(精神通院)』の利用手順
病院や薬局などの医療機関の窓口で『自立支援医療受給者証(精神通院)』を提示します。
それだけです。
『自立支援医療受給者証(精神通院)』を利用した結果
『自立支援医療受給者証(精神通院)』の利用すると病院での診療費および薬局でのお薬代が1割負担で済みました。
※診断書は健康保険が効かないので、従来通りの費用負担が必要です。
『まどわく』は、病状が固定してしまっていることもあって、2〜3月毎に通院しており、お薬は90日分を処方してもらっています。
『まどわく』の症状は軽度な方だと思いますが3割負担の健康保険でかかる費用は、一度の診療で1.2千円程度、お薬代30日分で3.3千円程度だったため、医療費は次のように変わりました。
区分 | 3割負担 | 1割負担 |
---|---|---|
診療費 | 1,200円/1回 | 400円/1回 |
お薬代 | 3,300円/30日分 | 1,100円/30日分 |
医療費 (月1通院の場合) | 4,500円/月 | 1,500円/月 |
お金がかかるのは同じなのですが随分助かります。
ただし、申請時に診断書作成に5千円程度を支払っているので、2か月分のメリットは使用済みになってしまいました。
まとめ
うつ病は、長期間の療養が必要で、色々な不安が積み重なると同時に、治療のための費用が嵩みます。
そんな治療のための費用を補助してくれるのが自立支援医療制度になります。
本人は、病気に苦しんでいて、こんな制度に気が付いていない場合も多いと思います。
周囲の人が制度を紹介してあげれば、経済的な部分で助けになるかもしれません。
精神疾病で治療が継続するようであれば、医師に相談してみると良いと思います。