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退職金は一括と年金どちらがお得なのかハッキリしたい!「非課枠フル活用」+「老齢年金繰下げ」が最強かも

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目次

・一般会社員
・勤続年数38年で60歳退職
・退職金は会社支給2000万円と確定給付企業年金800万円
・配偶者(60歳専業主婦)、他の扶養なし
・70歳まで無職
・65歳から年間200万円の老齢年金を受給
・医療費控除・ふるさと納税などは考慮しない

事例60歳〜64歳65歳〜69歳
(α):老齢年金のみ200万円/年
(β):老齢年金と企業年金80万円×10年80万円/年280万円/年
(γ):老齢年金と企業年金40万円×10年40万円/年240万円/年

計算8:課税年金所得(年金受け取り分)

年金受け取り時の所得税・復興特別所得税・住民税を求める前に、年金所得から所得控除を差し引いた課税年金所得額を求めます。

課税年金所得=年金所得ー所得控除

所得控除は15種類の控除があり、人によって該当する控除が違います。

所得控除

今回の計算では、『基礎控除』『配偶者控除』『社会保険料控除』のみを利用します。

基礎控除
配偶者控除
配偶者特別控除
扶養控除
障がい者控除
寡婦控除
ひとり親控除
勤労学生控除
社会保険料控除
生命保険料控除
地震保険料控除
小規模企業共済等掛金控除
医療費控除
雑損控除
寄附金控除

『基礎控除』『配偶者控除』は所得税計算と住民税計算で金額が違うので注意が必要です。

所得控除所得税計算住民税計算
基礎控除48万円
(所得2,400万円以下)
43万円
(所得2,400万円以下)
配偶者控除38万円
(所得900万円以下)
33万円
(所得900万円以下)
社会保険料控除先の算出値先の算出値
各事例毎の課税年金所得

(α):老齢年金のみ

60歳〜64歳:
基礎控除48万円
配偶者控除38万円
社会保険料控除5.37万円

所得控除=48+38+5.37=91.37万円
課税年金所得=0

65歳〜69歳:
基礎控除48万円
配偶者控除38万円
社会保険料控除12.755万円

所得控除=48+38+12.755=98.755万円
課税年金所得=90万円ー98.755万円=0

(β):老齢年金と年間80万円を年金受け取り

60歳〜64歳:
基礎控除48万円
配偶者控除38万円
社会保険料控除5.37万円

所得控除=48+38+5.37=91.37万円
課税年金所得=20万円ー91.37万円=0

65歳〜69歳:
基礎控除48万円
配偶者控除38万円
社会保険料控除26.905万円

所得控除=48+38+26.905=112.905万円
課税年金所得=170万円ー112.905万円=57.0万円

(γ):老齢年金と年間40万円を年金受け取り

60歳〜64歳:
基礎控除48万円
配偶者控除38万円
社会保険料控除5.37万円

所得控除=48+38+5.37=91.37万円
課税年金所得=0

65歳〜69歳:
基礎控除48万円
配偶者控除38万円
社会保険料控除20.325万円

所得控除=48+38+20.325=106.325万円
課税年金所得=130万円ー106.325万円=23.6万円

計算9:所得税・復興特別所得税(年金受け取り分)

課税年金所得に税率を掛けると所得税・復興特別所得税が算出できます。

所得税は下表で該当する税率を使用します。その所得税の2.1%が復興特別所得税となります。

所得税+復興特別所得税=(A課税所得金額×B税率ーC控除額)×1.021

A課税所得金額B税率C控除額
1,000円 から
1,949,000円まで
5%0円
1,950,000円 から
3,299,000円まで
10%97,500円
3,300,000円 から
6,949,000円まで
20%427,500円
6,950,000円 から
8,999,000円まで
23%636,000円
各事例毎の所得税・復興特別所得税

(α):老齢年金のみ

60歳〜64歳:
課税年金所得=0

所得税=0
(復興特別所得税含む)

65歳〜69歳:
課税年金所得=0

所得税=0
(復興特別所得税含む)

(β):老齢年金と年間80万円を年金受け取り

60歳〜64歳:
課税年金所得=0

所得税=0
(復興特別所得税含む)

65歳〜69歳:
課税年金所得=57.0万円

所得税=57.0万円×5%×1.021=29,098円/年
(復興特別所得税含む)

(γ):老齢年金と年間40万円を年金受け取り

60歳〜64歳:
課税年金所得=0

所得税=0

(復興特別所得税含む)

65歳〜69歳:
課税年金所得=23.6万円

所得税=23.6万円×5%×1.021=12,047円/年
(復興特別所得税含む)

計算10:住民税(年金受け取り分)

住民税は、所得割と平等割を計算します。

また、非課税となる所得が『所得割』と『均等割』それぞれに設定されています。

※市町村により違います。

住民税所得割が非課税となる場合

所得が次に該当する方は、住民税の所得割が非課税となります。

※市町村により違います。

同一生計配偶者および扶養親族のいずれも有しない場合
450,000円
同一生計配偶者または扶養親族を有する場合
350,000円×(1+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+420,000円

下表は配偶者と扶養家族の人数に応じた該当所得および相当収入を示したものです。

同一生計配偶者+
扶養親族の人数
0人1人2人
所得金額(円)450,0001,120,0001,470,000
給与収入(円)1,000,0001,703,9992,215,999
年金収入(円)
(65歳未満)
1,050,0001,860,0002,326,666
年金収入(円)
(65歳以上)
1,550,0002,220,0002,570,000

住民税均等割が非課税となる場合

所得が次に該当する方は、住民税の均等割が非課税となります。

同一生計配偶者および扶養親族のいずれも有しない場合
415,000円
同一生計配偶者または扶養親族を有する場合
315,000円×(1+同一生計配偶者+扶養親族の人数)+289,000円

下表は配偶者と扶養家族の人数に応じた該当所得および相当収入を示します。

同一生計配偶者+
扶養親族の人数
0人1人2人
所得金額(円)415,000919,0001,234,000
給与収入(円)965,0001,469,0001,879,999
年金収入(円)
(65歳未満)
1,015,0001,592,0002,012,000
年金収入(円)
(65歳以上)
1,515,0002,019,0002,334,000

住民税の計算

住民税は、所得割および均等割が非課税に該当しない場合、課税所得(所得金額 ー 所得控除)に対して、所得割10%(県民税4%、市民税6%)が課税され、加えて均等割(森林環境税含む)0.6万円が課税されます。※市町村により違います。

所得控除は下表の住民税の控除額を使用します。

所得控除所得税計算住民税計算
基礎控除48万円
(所得2,400万円以下)
43万円
(所得2,400万円以下)
配偶者控除38万円
(所得900万円以下)
33万円
(所得900万円以下)
社会保険料控除先の算出値先の算出値

所得割住民税=(所得金額 ー 所得控除)×税率10%

均等割住民税(森林環境税含む)=0.6万円/年

各事例毎の住民税

(α):老齢年金のみ

60歳〜64歳:
所得なし

所得割:非課税
均等割:非課税

65歳〜69歳:
年金所得=年間200万円・・・住民税所得割・均等割共に非課税

所得割:非課税
均等割:非課税

(β):老齢年金と年間80万円を年金受け取り

60歳〜64歳:
年金所得=年間80万円・・・住民税所得割・均等割共に非課税

所得割:非課税
均等割:非課税

65歳〜69歳:
年金収入280万円・・・住民税所得割・均等割共に課税
年金控除110万円
年金所得=280ー110=190万円・・・A

基礎控除=43万円・・・B
配偶者控除=33万円・・・C
社会保険料控除=26.905万円・・・D

所得割:(Aー(B+C±D))×税率10%=127,095円/年
均等割:6,000円/年

(γ):老齢年金と年間40万円を年金受け取り

60歳〜64歳:
年金所得=年間40万円・・・住民税所得割・均等割共に非課税

所得割:非課税
均等割:非課税

65歳〜69歳:
年金収入240万円・・・住民税所得割・均等割共に課税
年金控除110万円
年金所得=240ー110=130万円・・・A

基礎控除=43万円・・・B
配偶者控除=33万円・・・C
社会保険料控除=20.325万円・・・D

所得割:(Aー(B+C±D))×税率10%=93,675円/年
均等割:6,000円/年

参考資料

本記事を作成するにあたり次のサイトを参考にしました。

参考サイト

国税庁 退職金と税:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/02_3.htm

国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

東京都主税局 個人住民税:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/kojin_ju.html#gaiyo_02

国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

足立区 令和6年度の国民健康保険料:https://www.city.adachi.tokyo.jp/kokuho/kurashi/hoken/hokenryoukimekata.html

国税庁 No.2260 所得税の税率:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

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